継続 vs 撤退の意思決定

会計士撤退後、業界別の年収相場はどのくらいか【未経験転職の目安】

「収入」への不安は、判断軸から外さなくていい

続けるか撤退するかを考えるとき、「収入」の話を持ち出すのは打算的な気がして、 つい後回しにしてしまう人もいるかもしれません。しかし、 判断軸をまとめた記事でも触れた通り、 生活の見通しを具体的な数字で確認しておくことは、感情に流されず判断するための 大切な材料のひとつです。ここでは、撤退後に異業種へ未経験で転職した場合の 年収レンジの目安を、業界別に整理します。

業界別の年収レンジ(20代・未経験からの目安)

一般的な労働市場データをもとにした、20代・未経験からの転職を前提とした おおよそのレンジです。個人の経歴・地域・企業規模によって大きく変動するため、 あくまで目安として見てください。

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業界別 年収レンジの目安(万円) 0 100 200 300 400 500万円 不動産営業 300〜450万円 IT(カスタマーサクセス等) 300〜380万円 メーカー管理部門 320〜400万円 金融機関 320〜420万円 人材(キャリアアドバイザー) 300〜380万円 ベンチャー(コーポレート職) 280〜380万円

図: 業界別の年収レンジ目安(20代・未経験からの転職を想定)。一般的な労働市場データをもとにした概算であり、 マナキャリ利用者の実績データではありません。

業界ごとの年収レンジの内訳

同じ「未経験からの転職」でも、レンジの中でどのあたりに落ち着くかは業界ごとの事情によって変わります。 それぞれの業界で年収に影響しやすいポイントを整理します。

不動産営業(300万円〜450万円)

不動産営業はレンジの幅が業界の中でも特に広く、その理由はインセンティブ(歩合給)の比率が 大きいことにあります。固定給部分はレンジの下限に近いことが多く、契約実績に応じたインセンティブが 上乗せされることで上限に近づく構造です。会計・ファイナンスの知識を活かして顧客への説明力を 強みにできると、成果を出すまでの立ち上がりが早くなりやすいという声もあります。 詳しくは不動産営業への転職体験談を参考にしてください。

IT/カスタマーサクセス(300万円〜380万円)

IT業界は職種・企業規模による差が大きい業界です。カスタマーサクセスのような未経験可の ポジションは、レンジとしては中堅どころに位置しますが、SaaS企業を中心に企業の成長フェーズに よって昇給スピードが早い場合があります。カスタマーサクセス職への転職体験談 では、成果が出ない状況を分析し続けた学習経験が評価された、という話がありました。

メーカー管理部門(320万円〜400万円)

メーカーの管理部門・経営企画は、比較的安定したレンジに収まりやすい傾向があります。 経理実務の経験がなくても、予算差異分析など数字を扱う業務では、会計士試験で得た知識が 評価される場面が多いようです。メーカー管理部門への転職体験談 も参考にしてください。

金融機関(320万円〜420万円)

金融機関は業界全体として給与水準がやや高めに出やすく、年齢に対する実務経験の少なさよりも、 財務諸表を読み解く力そのものが評価される場面があります。 金融機関への転職体験談では、決算書を読む力が 実務に早く慣れる材料になった、という話がありました。

人材(キャリアアドバイザー)(300万円〜380万円)

人材紹介会社のキャリアアドバイザー職は、成果に応じたインセンティブが設定されている 企業も多く、経験を積むほど上振れが期待しやすい職種です。会計士受験で「迷い続けた経験」 そのものが、求職者に寄り添う力として評価されることもあります。 キャリアアドバイザーへの転職体験談も参考にしてください。

ベンチャー企業のコーポレート職(280万円〜380万円)

ベンチャー・スタートアップは企業によって給与水準の差が大きく、レンジとしては やや控えめに出やすい傾向があります。一方で、専任担当者がいない環境では裁量が大きく、 経理・労務・契約管理など複数領域を任される分、実務の幅を早く広げやすいという特徴もあります。 ベンチャー企業への転職体験談も参考にしてください。

レンジの中で、上のほうを目指すためにできること

同じ業界・同じ未経験枠での応募でも、レンジのどのあたりで着地するかには差が出ます。 上のほうを目指す上で、意識しておきたいポイントを整理します。

  • 学習範囲を具体的な論点レベルで説明できるようにしておく: 「簿記を勉強した」ではなく、 「決算数値に影響する論点をどこまで扱えるか」を具体的に説明できると、初任給の交渉材料になりやすい
  • 資格・検定で客観的な証明を補う: 日商簿記2級等、実務との接続を示す資格は、 未経験であることの不安を補う材料として機能することがある
  • 複数社を比較して交渉材料を持つ: 未経験可の求人であっても、提示条件は企業によって幅がある。 1社だけで判断せず、複数の選考を並行して進めることで相場感がつかみやすくなる
  • インセンティブ比率の高い業界では、固定給と歩合の内訳を必ず確認する: 不動産営業や キャリアアドバイザーのように歩合給の比率が高い職種では、提示年収の内訳を事前に確認しておきたい

受験経験を職務経歴書・面接の言葉にどう翻訳するかについては、 「受験経験の翻訳」カテゴリーにまとめている。

数字だけでは見えないこと

上の表は、あくまで一般的な労働市場データをもとにした目安です。会計士試験の学習経験、 特に会計・財務・税務まわりの体系的な知識は、この一般的なレンジよりも有利な条件を 引き出す材料になることがあります。

実際、メーカーの管理部門金融機関への転職では、実務未経験であっても 「数字を読む力」「決算書を理解する力」そのものが評価された、という声がありました。 学習してきた内容をどう職務経歴書・面接の言葉に変換するかについては、 受験経験の翻訳カテゴリーで詳しく扱っています。

「額面」と「手取り」を混同しないために

求人票に記載されている年収(額面)と、実際に振り込まれる金額(手取り)は異なります。 額面から社会保険料・所得税・住民税が差し引かれるため、手取りはおおよそ額面の 75%〜80%程度になることが一般的です。たとえば額面320万円の場合、手取りは 月額換算でおおよそ20万円前後になる計算です。

会計士試験の学習期間中の生活費と比較する際は、この額面と手取りの違いを踏まえて 考えないと、実際の生活水準の変化を見誤ってしまうことがあります。

地域・企業規模による違い

同じ業界・同じ職種であっても、勤務地や企業規模によって年収レンジは変動します。 一般的な傾向として、首都圏(特に東京23区)は地方に比べて給与水準が高く出やすい一方、 生活費(家賃等)も高くなる点は考慮しておく必要があります。また、同じ業界内でも、 大手企業と設立間もない企業とでは、初任給の設定に差が出やすい傾向があります。

上記の年収レンジは、こうした地域差・企業規模差を平均化した目安である点も、 あわせて理解しておいてください。

「年収」だけで決めないために

とはいえ、年収の高さだけで進路を決めることをおすすめしているわけではありません。 「はじめての方へ」のページでも触れている通り、これから何十年も 働くキャリアは、生涯で見れば数億円規模の投資判断です。目先の年収レンジだけでなく、 以下のような条件もあわせて確認しておくことをおすすめします。

  • 昇給・評価の仕組み(年功的か、成果に応じてか)
  • 残業時間の実態、休日の取りやすさ
  • リモートワーク・フレックス等の柔軟性
  • 将来的なキャリアパス(管理職、専門職、独立等の選択肢があるか)
  • 会計士受験の経験が今後どう活きるか(受験経験の翻訳カテゴリーも参考に)

よくある質問

この年収レンジは、マナキャリを利用した人の実績データですか?

いいえ。一般的な労働市場データをもとにした概算の目安であり、 特定の個人・実績を示すものではありません。

会計士試験の学習経験があれば、このレンジより高い年収を期待できますか?

一概には言えませんが、決算書を読む力や税務・会社法の知識が評価される場面では、 一般的な未経験者よりも有利な条件を引き出せることがあります。詳しくは 受験経験の翻訳カテゴリーを参考にしてください。

年収以外に何を基準に考えればいいですか?

働き方・裁量・将来のキャリアパスなど、年収以外の軸も含めて考えることをおすすめします。 判断軸をまとめた記事も参考にしてください。

提示された年収が相場より低い場合、交渉できますか?

企業や職種によります。複数の選考を並行して進めて相場感を把握しておくと、 交渉の材料にしやすくなります。ただし、未経験枠での採用では、 提示条件がある程度固定されているケースも少なくありません。

短答式・論文式のどちらまで進んだかで、年収に差は出ますか?

一律の差があるとは言えませんが、学習範囲が広いほど説明できる知識の幅は増えます。 到達したレベルを、具体的な論点として職務経歴書・面接で説明できるようにしておくと、 評価材料として活かしやすくなります。

地方在住でも、ここで紹介した年収レンジは参考になりますか?

参考にはなりますが、首都圏を中心とした相場感を含んでいる可能性がある点は留意してください。 同じ業界・職種でも、勤務地によって年収レンジは変動します。

一人で情報を整理しきれない場合は、今の状況を一度話してみることもできます。

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